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TUFRAM®【タフラム】:仕様

耐摩耗性向上などを実現した硬質アルマイトとフッ素樹脂の高機能複合皮膜プロセス

TUFRAM®(タフラム)の特性

●TUFRAM®(タフラム)の材質別特性表

【◎…良好、○…普通、△…やや劣る、×…劣る】材質

材質 膜厚
(µm)
寸法 皮膜 色相 皮膜特性 特  徴






範囲
増加量
(%)
硬度
(Hv)
A1050 20~50 50 45~50 350~450 3 アルミ以外の添加物が少ないため、素材時の耐食性が良く、良質な皮膜が得られる。
A1100 20~50 50 45~50 350~450 3
A2011 ~20 200~300 2 × × 銅(Cu)5%以上含有しているため、バーンが発生する。陽極酸化処理には不適切。
A2014 20・30 30 30~40 200~300 3 熱処理により膜厚制限ありT4※1:~4µm、T6※2:~25µm T6以上ではバーン発生がある。素材強度は高いが添加物の影響により耐食性が著しく悪い。成膜後シミやムラになりやすい。
A2017 20・30 30 30~40 200~300 3
A2024 20・30 30 30~40 300~400 3
A5052
推奨材質
20~50 30 40~45 350~450 3 アルミ素材で中程度の強度、耐食性が良く、良質な皮膜が得られる。
A5056 20~50 30 45~50 350~450 1 × アルミ色に近い発色が得られる。膜厚が厚くなるとクラックが増加する傾向がある。沸騰水や蒸気封孔により皮膜剥がれが発生する。
A5083 20~50 50 30~40 300~400 4 強度、耐食性が良く、溶接構造に適した材料。
A6061
推奨材質
20~50 50 35~40 350~450 4 素材メーカー、熱処理の違いにより陽極酸化処理後、添加物の偏析による模様が出る場合がある。
A6063 20~50 50 35~40 350~450 2 押出加工に優れており、成膜後クラックは多いが良質な皮膜が得られる。
A7075 20~50 40 40~45 250~350 3 超超ジュラルミンと呼ばれ、極めて強度が高くなっている。添加物の影響により著しく耐食性が悪く腐蝕が出やすい成膜後シミやムラになりやすい。
AC2A・B 20~50 50 (30~40) 200~300 3 素材表面が粗く、陽極酸化処理後外観に巣が目立つ。
AC4A 20~50 50 (30~40) 200~300 3
AC4C 20~50 50 (30~40) 200~300 3 鋳物の中では表面粗さは良い。
AC5A 20~50 (30~40) 200~300 4 × 非常に溶け易い。バーンしやすい。
AC7A・7B 20~50 50 (45~50) 200~300 1 アルミ色に近い皮膜が得られる。鋳物の中では比較的良い膜ができる。
ADC4 ~20 200~300 4 添加物の影響で陽極酸化処理しにくい。表面に黒い付着物(シリコン)が残り色ムラが多い。
ADC6 20~50 50 200~300 4 ダイキャストの中では良い皮膜ができる。
ADC10 20~50 40 200~300 4
ADC12 ~15 3 × × 添加物の影響で陽極酸化処理しにくい。表面に黒い付着物(シリコン)が残り色ムラが多い。

 

(1)タフラム®皮膜は、硬くて機械強度に優れマイクロクラック等の微細凹凸に富んだ硬質アルマイトに、厳選された微小なフッ素樹脂をタフラム®プロセスにて複合した皮膜です。硬い表面を持ち耐摩耗性、滑り性、耐食性、耐海水性、電気絶縁性等に優れた表面処理技術です。

(2)良質のタフラム®皮膜を得る為には材質の選定が重要です。特に銅(Cu)5%以上、シリコン(Si)7%以上のアルミ合金では寸法管理が困難になります。また、バーン(溶け)が発生し易くなりますので充分注意が必要です。

(3)A2000系は、強度及び切削性の高い合金です。添加されている銅(Cu)は皮膜成長を阻害する為、良質の皮膜は期待出来ません。

(4)A7000系はアルミ合金の中で極めて高い強度を有します。一方で、耐食性が著しく悪いため、防錆対策が必要です。

(5)鋳物材は、展伸材に比べ合金組成が不均一で、シリコン(Si)を局部的に多く含んでいる場合バーンの原因になります。

(6)皮膜の必要部分と不必要部分(マスク指示)を明確にご指示ください。

(7)接点電極となるネジ穴、穴、面等をご指示ください。

(8)加工の切削油、磨き粉等が残っていると皮膜成長を阻害するなど、外観上の問題が発生します。

(9)膜厚20µm以上で10単位の処理が可能です。弊社では30±10を推奨しております。(20以下の薄膜では、膜厚管理が難しくなります。)

(10)鋳物、ダイキャスト以外では、皮膜の厚さを±10µm以内に管理可能です。

(11)皮膜の色相は、皮膜生成工程で自然発色するもので、アルミ合金成分(例:Cu,Mn,Si等)が多くなるに従い色が濃くなります。逆に熱処理の温度が高くなるに従い、色は淡くなります。また、機械加工時の熱負荷によっても発色は変化します。

(12)素材と皮膜の膨張収縮率の違いにより、皮膜は表面亀裂(クラック)が発生します。

  クラック順位【小】A2000,A7000系→A6061→A5052→A1000系、A6063→A5056【大】

(13)表中の硬度はビッカース硬度計による表面硬度を示します。硬度測定は材質の影響を防ぐため膜厚30µm以上必要です。

(14)処理後の外観には、加工仕上げ状態に反映されます。皮膜面粗度は加工状態に大きく影響されます。一般的には成膜前に比べ粗くなります。

(15)皮膜は使用温度領域にも優れ、~220℃まで安定した特性が得られます。

(16)処理温度は通常100℃以内のため、歪みの発生が少なく抑えられます。

(17)【アルマイト、タフラム処理時の注意】

  異種金属の組込み(ヘリサート等の挿入や鉄ビンの圧入)がある場合は、アルマイト処理時に溶解してしまいますので、必ず除去してご依頼ください。
圧入などで取り外しができない場合は、マスキングで対応できる場合がありますので、事前にご相談ください。

 

※タフラム®は厚生省告示第370号「器具及び容器梱包」規格試験に適合しています。

 本内容は当社生産ライン実績に基づいた参考データです。タフラム®皮膜の性能を保証するものではありません。

*処理可能な最大寸法目安(800(W)×3000(L)×1300(H)mm)、実サイズは別途お問合せください。 

表面処理カタログ(PDF)

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