NEDOX®(ニダックス)処理・NIFGRIP®(ニフグリップ)処理についてご依頼時のお願い
2006年3月
NEDOX®(ニダックス)処理やNIFGRIP®(ニフグリップ)処理は、鉄・ステンレス・銅・アルミ合金に析出させたニッケル皮膜をベースにします。
素材となる表面の状態はとても重要となりますので、より良い製品をお届けする為にも下記注意事項をご確認の上ご発送願います。
◆錆
鉄・鋳物の材質は大気中に置いておくだけで錆が発生します。錆がひどい場合、前工程(酸洗い)でも除去出来ず無めっきの原因にもなります。
※ご支給前に防湿防錆処置を充分にお願い致します。
◆バフ粉
バフ仕上げ時には、磨き粉と研磨された素材が細かな粒子となり、部品の表面に付着します。
バフ仕上げの残留物は、灰色や黒色のため、穴やくぼみの影と見間違えて、充分に除去されず、そのまま残ってしまうことがあります。
これらの付着物は脱脂工程では除去できないので、結果的に無めっきの発生を引き起こします。
※バフ粉はご支給前に充分に除去していただくようお願い致します。
◆粘着物(接着剤)
部品に貼り付けたセロテープやビニルテープなどを、時間がたってから剥がすと粘着剤が残留することがあります。
ガムテープのように粘着剤にも着色されている場合は、すぐに拭き取って除去します。
ただし、粘着剤が白色や透明の場合は、素材の金属色と似ているため見えにくいので、除去できないことがあります。
この粘着剤も脱脂工程では除去できないので、成膜中も残留して、結果的に無めっきの発生を引き起こします。
※ご支給品にテープ等の粘着物を直接貼らないようにお願い致します。
◆マジックインキ(青ニス)
識別や注意事項をマジックインキで部品に書き込むと、時間の経過とともに、インクで覆われた部分とそれ以外の部分に、微妙な表面状態の差が生じます。
処理前にはマジックインキの部分は拭き取って除去しますが、処理後に文字が浮き出してしまうことがあります。
※ご支給品に直接マジック等で文字を書かないでください。
◆放電加工、ワイヤーカット、レーザーカット、焼き入れ(焼戻し)等
放電加工した表面は微視的に溶解されて酸化膜が形成されています。
酸化膜が強固についている場合は、前工程(酸洗い)でも除去出来ないこともあります。
また、酸化膜がついているとニダックスの膜が剥れる場合があります。
※酸化膜付着の場合は前処理としてショットブラストをおすすめ致します。
◆水溶性油
水溶性の油は錆の発生に繋がりなす。
加工時に使用した場合はその油を除去して頂き、それ以外の油を使用して頂くようお願い致します。
※水溶性の油を使わないようにお願い致します。
【要注意材料】
NEDOX®(ニダックス)・NIFGRIP®(ニフグリップ)(鉄・ステンレス・銅合金)には400℃の熱処理工程が含まれます。
焼戻し温度が低い材質は、母材強度の低下及び歪みが発生する場合がありますのでご注意下さい。
設計上で母材強度が必要な部品は焼戻し温度が400℃以上の材料(例:SKD11の高温焼戻し等)を選定して下さい。(母材がアルミ合金の場合は200℃で熱処理を行います)
下記一覧は低温焼戻し材料の一例です。
【HB:ブリネル硬度,HRc:ロックウエル硬度】