油回転真空ポンプのオイル劣化の原因は?
タイトルにもある「油回転真空ポンプのオイル劣化の原因は?」というご質問を、よくお客様からいただきます。
そこで、油回転真空ポンプのオイルが劣化する主な原因とその対策についてご紹介するページを作成しました。
皆様の日常業務にお役立ていただければ幸いです。
まずは、本題に入る前に、油回転真空ポンプにおけるオイルの役割と、オイルが劣化するとどのような問題が生じるのか、についてお話しします。
◆油回転真空ポンプに於けるオイルの役割
一般的な油の役割として、潤滑、気密、冷却、洗浄、防錆の5つがあり、油回転真空ポンプでは特に潤滑、気密、冷却が重要視されます。
◆オイルが劣化すると生じる問題
オイルが劣化すると生じる問題には以下のようなものがあります。
・ポンプが起動しない
・ポンプの排気性能が低下する
・油漏れが発生する
オイルの役割や劣化によって生じる問題についてご理解いただけたところで、早速本題に入りましょう。
オイル劣化の原因やその予防策、さらに対処法について順番に説明致します。
オイル劣化の主な原因
①水分の混入
水蒸気が多い気体を排気すると、オイル中に大量の水分が混入し、オイルが劣化することがあります。

水分が混入したオイル
水分の混入に対する予防策
【凝縮性ガス】
ガスバラストバルブ(以下GB)を開き、ポンプの圧縮・加圧時に空気や窒素を入れることにより、凝縮性ガスは液化せずに排気弁を経由して排気されるので、ポンプオイルへの水分の混入を抑えることが出来ます。
※ポンプ温度が高いほど、GBの効果が高いので、GBを開にして20分程度暖機運転してからチャンバーを排気してください。
※プロセス終了後ポンプ停止前に30分程度、GB開運転を推奨しています。
※GBをOPENにしたまま運転すると、油の飛散が発生したり、到達圧力が高くなりますので注意してください。
【水分・液体】
オイルフィルストレーションや油水分離機を使用していただくことで、水分が混入したオイルの水分を除去することができます。
水分が混入してしまった場合の対処法
ポンプ運転開始前に、ドレンよりオイル中で分離して溜まった水分のみを排出して頂き、排気性能が復活した場合はそのまま継続して使用可能です。
ただし、排気性能が復活しない場合はオイル交換(フラッシング作業)を実施してください。
②異物の混入・堆積
有機物等の異物が多い空間の気体を排気すると、ポンプ内に異物が混入し、溜まる(堆積する)事があります。
その異物から放出ガスが発生し、オイル自体が劣化します。

異物が混入したオイル
異物の混入に対する予防策
オイルフィルストレーションを採用していただくことで、異物混入を防ぐことができます。
異物が混入してしまった場合の対処法
ポンプケース内をクリーニング後、オイル交換を行うことで、堆積した異物を排除できます。
③オイルの酸化
ポンプを高温下で長時間使用したり、長期間ポンプを稼働させずに放置させたりすると、オイルが酸化劣化します。

オイルの酸化に対する予防策
ポンプを高温下で長時間使用しないよう注意したり、定期的にポンプを稼働させることで、酸化劣化を防ぐことができます。
オイルが酸化してしまった場合の対処法
下記の表・動画を参考にオイル交換を実施してください。

④プロセスで使用されるガスの影響
CVD装置やエッチング装置で使用しているポンプは、プロセスで使われているガスの影響で、オイルの劣化が早くなります。
プロセスガスの影響に対する予防策
ガス種によってオイルの劣化を軽減できることがあります。
詳しくは弊社問い合わせフォームにてお問い合わせください。
プロセスガスの影響でオイルが劣化した場合の対処法
オイル交換及び、オーバーホールを実施してください。
定期的にオイル交換を実施していただくと、油回転真空ポンプの性能を低下させずにお使いいただくことができます。
油回転真空ポンプのオイル交換方法手順を動画にまとめておりますので、下記の動画を是非ご覧ください。
油回転真空ポンプのオイル交換方法
定期的なオーバーホールをご検討ください
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